青い鳥 メーテルリンク 堀口大學=訳
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(2014.09.20)
チルチル
ぼく全部見なきゃいけないんだ。
光
「幸福」たちはたいていごく善良なんだけれど、でも、中には一番大きな「不幸」よりもっと危険で不誠実なのもいますからね。
「一番ふとりかえった幸福」たちは、下品で、育ちは悪いけれども、悪い人間じゃありませんからね。
人間はしなければならない義務があるときには、なにかを犠牲にしなければならないのだということを知らねばなりません。
虚栄に満ち足りた幸福 かわかないのに飲む幸福 ひもじくないのに食べる幸福 なにも知らない幸福 もののわからない幸福 なにもしない幸福 眠りすぎる幸福
あなたの見る目が変わったのです。今はじめて真実そのものが見えるのです。
みんなが考えているよりずっとたくさんの幸福が世の中にはあるのに、たいていの人はそれを見つけないのですよ。
子供の幸福というものは、この世でも天国でも、いつも一番美しいものに装われるんですからね。子供の時代はごく短いものだからね。
幸福
健康である幸福 清い空気の幸福 両親を愛する幸福 青空の幸福 森の幸福 昼間の幸福 春の幸福 夕日の幸福 星の光り出すのを見る幸福 雨の日の幸福 冬の火の幸福 一番朗らかな「無邪気な考えの幸福」 露の中を素足で駆ける幸福 はしゃぎきった幸福
光
人が一番幸福なのは、笑っているときじゃないのよ。
幸福
大きな喜びたち 正義である喜び 善良である喜び 仕事を仕上げた喜び ものを考える喜び もののわかる喜び 美しいものを見る喜び ものを愛する喜び くらべもののない母の喜び
母の愛
下界でわたしを見るとき、どのように見なければいけないかを学んで、よく知るためなんだから。
わたしたちが抱き合うところはどこだって天国なのだよ。どの子だって、かあさんは一人なんだよ。お前はかあさんをよく見てよく知らなければいけない。
第2の子供
あたしは一番悲しいものになるでしょう。それで、あんたはあたしがわかるはずよ。