石原千秋。「こころ」で読みなおす漱石文学。朝日新聞出版、2013。
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(2013.10.08)
一覧に戻る1914年、朝日新聞に連載された。
1960年代、こころは高校の教科書収録されうようになった。
1人の人間を死に追いやったとして、その人はそのために自分も自殺をしなければならないのでしょうか。それは真っ当な倫理観と言えるでしょうか。
先生は内側の自分が不安定であった。外側の自分を仕立てあげても、自分を守ることは出来なかった。
先生は「内側の自分」と「外側の自分」が一致すべきであるという潔癖な倫理があった(人は他人を疑う必要がなくなる。主体性という心の働きがなくなる。相手に合わせて変えなければならなくなる不安定さがある。心の機微がなくなる)。先生は人の眼差しが怖かった。
先生の倫理は、自分の言語動作によって他人の身の上に何かが起きたとき、その全責任を自分がとらねばならないことを意味します。
Kはエゴイストではなく、ナルシスト。孤独を自覚したことはなかった。先生とは対照的。先生にとっての「象徴的」なレベルを超えた存在。